震える白
うさぎを飼い始めた。
ペットショップで一目惚れしたのだが
病気の疑いがあるということでなかなか引き取れずにいた。
結局病気であっても構わない、ということで里親として引き取ることになったのだ。
生き物には終わりがある。
常日頃から死を意識して生きている私は
絶対に引き取りたいと思いながらも育てる前から終わりを考えていた。
私かうさぎか、わからない。
いつかの別れが怖かった。
彼は初めてのうさぎにたいそう喜んでくれた。
愛おしそうにうさぎを見つめ、甲斐甲斐しく世話をする様子に幸せを感じた。
彼とうさぎを残して仕事に向かい、数時間。
水を飲まないと困っているLINEが届いた。
いつも一言二言連絡の彼から焦った様子の文が届いて私も慌てる。
うさぎについて調べつつ返事を返し、仕事が立て込んでみれなくなった。
それから数時間またたって、携帯をみると連絡が数件来ていた。
電気を消すと少し落ち着いたこと、皿に移し替えると飲んでくれたこと。
彼がうさぎの名を大切そうに呼ぶ動画を見て心がじんわりとほぐれていった。
なんとなく自信がなくて震えていた心が少し落ち着いた。
守るべき大切なものができる。それはとても強いものだ。
心の芯がひとつ増えたような気がした。
まや